「ブームだけで終わらせない」「米粉ビジネス最前線」
【掲載】 | 商経アドバイス |
【掲載日】 |
2022年8月4日(木) |
◎価格以外の魅力訴求へ
輸入穀物の高騰や小麦アレルギー対策などで米粉が注目される中、大阪府八尾市で先ごろ「米粉ビジネス最前線」と題するセミナーが開催された。市内で事業を営む米粉関連の企業等がそれぞれの取り組みや課題、今後の目標などを語った。
湿式米粉製粉機「スーパーパウダーミル」など米粉業界で知られる㈱西村機械製作所の西村元樹社長は、上新粉や白玉粉など従来の和菓子原料としての米粉から、パン・麺・洋菓子などの新規用途向け米粉の製粉機開発に舵を切った経緯や、品質を高めるために取り入れた湿式製粉について説明した。
地場産米を活用した自家製粉による地産地消や6次産業化など、全国各地の道の駅などで展開されているビジネス例を挙げ、地域活性化への道筋などを紹介した。保水性が向上するアルファ化米粉も取り上げ、湿式米粉との組み合わせによって「米粉普及の可能性を広げたい。米粉がブームだけで終わらないように努めたい」(西村社長)と語った。
製麺機製造・販売と米粉パスタの企画・販売を行う㈱ニチメンの基井優希也代表は、グルテンフリー(GF)の食生活を行う消費者のニーズを分析した結果、小麦だけでなく添加物も使わない米粉麺の開発にシフトしていった経緯を説明した。
◎GF食品市場の発展目指す
コメの品種を厳選して特定の農家と契約栽培し、製麺機も大幅に見直してツルっとした歯応えを楽しめる米粉麺を開発したという。「製粉機メーカー自らがGF食品を販売することで、GF食品の市場の発展につながれば」(基井代表)と所信を述べた。
野菜や豆類、野草を使った焼き菓子の開発に努めているおうちごはん研究家の神﨑あつ子氏は、米粉に興味がある主婦でも、量販店などで販売されている米粉は商品によって品質の差が大きいため活用できていない点など、流通の課題を指摘した。
小麦粉価格が高騰する中、米粉需要の高まりについて西村社長は、価格差縮小による需要を認めつつ、①価格以外のメリットの訴求②玄米粉の普及――などを挙げた。
基井代表は小麦粉と米粉を別物と位置づけ、比較しないスタンスを強調した。神﨑氏は「米粉を当たり前のように使えるよう、使い方・活かし方をレシピ化したい」と抱負を述べた。