「バウムクーヘン好評」
【掲載紙】 | 商経アドバイス |
【掲載日】 |
2021年1月8日(金) |
バウムクーヘン好評
フェアリーパウダーミル 生産者も相次ぎ採用
㈱西村機械製作所(大阪府八尾市)の小型気流式湿式米粉製造機「フェアリーパウダーミル」が各地の生産者・農業法人などで採用されている。地元の他の農作物とのコラボで商品化したケーキやバウムクーヘンの原料として米粉が使われ、道の駅やカフェで人気商品となっている。同社・西村元樹社長は「小麦粉の代替という位置づけではダメ。おいしい食品につながってこそ、消費者のニーズは高まる。そこに米粉という付加価値が加わり、米粉の良さも広がっていく」と語る。
フェアリーパウダーミルは、昨年10月時点で全国に11台が導入された(右図参照)。さらに引き合いが増えており、今年3月の年度末には約20台が全国に導入される予定だ。過去2年間の地道なPR活動に加え、㈱不二商会(神戸市兵庫区)とともに米粉バウムクーヘンを開発したことが米粉人気に火をつけた。
6次産業化に乗り出したい生産者グループは全国に多数、存在する。自分たちで作ったコメや特産品などを使って、付加価値の高い食品を世に出したいと願っている。こうした層に対してバウムクーヘンは、お土産を買って帰ろうとする観光客に提供するのに格好の商品だ。
愛知県犬山市のA農業法人は道の駅に米粉バウムクーヘンを納入するだけでなく、テナントとしてカフェも開店する。福祉の人材とのネットワークを築いており、福祉施設の障害者雇用にも前向きだ。地元小学生の田植えや稲刈り体験も受け入れており、こうした地元貢献の姿勢も高く評価され、道の駅内に開店するカフェには好立地が用意された。
大豆も栽培していることから、米粉ときな粉や野菜入り、プロテイン入りのバウムクーヘンなどのメニューを多数開発している。米粉パンケーキなども扱う。
米粉入りバウムクーヘンは生地がしっとりし、口の中でパサパサしない。「小麦粉のバウムクーヘンよりもおいしい。小麦粉の代わりにという先入観を打ち破り、“米粉の方がおいしい”と言える商品だ」とは西村社長の弁だ。
商品化には、米粉の性質を研究し抜いた不二商会の貢献が大きい。「米粉バウムクーヘンに参入しようとする相手企業の特性や、地域の特産品、地域性などをよく研究して商品化を提案してくれる」と西村社長も評価する。
フェアリーパウダーミルは、原料米に30%まで水分を含ませてから粉砕するため、粉砕時に発生する摩擦熱による品質低下を防げる。原料米同士をぶつけ合わせる気流式粉砕のため、デンプン損傷率がわずか3%と低く、米粉のアルファ化を防ぐ。製造される米粉は平均30~50㍈という細かさで、ふっくらとしたパンやケーキを作れる。製粉ロットが小さいため、試作品作りにもすぐに使える。
西村社長は米粉の普及のためにも、「きちんと売れる商品化への筋道をつけて、ノウハウとともにユーザーに提供していきたい」と指摘、米粉の可能性を追求していく姿勢だ。