「こだわりの実需が続々」
【掲載紙】 | 商経アドバイス |
【掲載日】 |
2020年1月9日(木) |
こだわり実需が続々
フェアリーパウダーミル導入
㈱西村機械製作所
湿式気流粉砕米粉製造機「フェアリーパウダーミル」を製造・発売して米粉の普及に努めてきた㈱西村機械製作所(大阪府八尾市)は、スーパーパウダーミルの小型版ともいえる「フェアリーパウダーミル」を開発して2年がたち、全国で10台を超す導入事例がみられる。全国でもさまざまな米粉製造機が開発されているが、需要が特定される機械としてはまれに見るハイペースな普及となっている。
フェアリーパウダーミルはJAや道の駅、ケーキ屋などで導入が進んでいる。同社の西村元樹社長によると、導入先に共通する特徴は「米粉の品質にこだわる所」という。単に高品質だけを求めるわけではなく、最終製品の特徴や食材の品質をどう生かせるかを熟考する傾向にあるという。
西村社長は、「粉を知らないと地元の食材を生かせないし、食品の形態も変わる。どんな品種を使うかも含め、コメについては可能性を無限に追求できる世界」と強調。実際の導入先も、米粉食品を通して「地域の普及に努めたい」との思いが強い実需者が多いという。西村社長も「従来の小麦粉食品以上の魅力やストーリーがないと普及は難しい」と語る。
近年、通販のテレビCMなどで米粉の認知度が向上した。しかし多くの消費者は、米粉の粒度やタンパク損傷度などで米粉の品質に大きな差が生まれ、米粉食品への向き・不向きにも多大な影響を与える事実までは分かってない。
そうした消費者や顧客に対して米粉食品のおいしさを伝えるためには、自分たちで作ってみてコメや米粉の品質や特質による違いを熟知し、インターネットなどでは分からない、現場でこそ得られる情報を発信できるまで米粉の工夫をする必要がある。
西村社長は、「この数年で品質を追求する所が増えた。そんな所が、“この金額なら”と思ってもらえるレベルまで小型化して、価格を下げたのがフェアリーパウダーミルだ。米粉の技術を伝える料理研究家も増えている。タッグを組んで米粉の良さを広めていきたい」と夢を語る。
同社の技術は海外にも広がっている。タイにはすでに現地法人が設立され、東南アジアでスーパーパウダーミルを展開している。昨年はベトナムでも毎時1.8トン製造の大型プラントが設置された。
ベトナムでは、ミックス粉やフリッター粉、パンケーキ粉などを製造するメーカーが導入。ベトナムはこれまで米粉をタイから輸入していた。ベトナムにはパインセヨというお好み焼きのような現地料理があるが、小麦粉だけではパリッとした焼き上がりにならず、米粉を混ぜたミックス粉が流通していた。今後は安定的に国内で製造できるためコストを削減できる上、コメとともに米粉も海外への輸出を図れるようになるとの期待が高まっているという。