大阪市の『シュークリームbar』
【掲載紙】 | 商経アドバイス |
【掲載日】 | 2019年7月16日(火) |
大阪市の「シュークリームbar」
シュークリームのかぶり物でにっこりほほ笑む“シュークリームおじさん”こと北井国治さんは、土佐れいほく米粉が作る「ふっくら米粉」を使って軟らかさが日持ちする米粉パンを焼いてる。いまではシュークリームも米粉で皮を作り、牛乳は一切使わない。「やはり日本人には日本人に合った、むかしからの素材を使った食品がよいのではないか」。小麦粉アレルギーの消費者だけでなく、一般消費者にも米粉食品の良さを届けようと頑張っている。
北井さんの「シュークリームbar」(大阪市淀川区)は、店内営業よりもデパートや催事場への出店の方が多い。その分だけ多くの人々との出会いがあり、米粉パンを知るきっかけも出会いの中から生まれた。
当時は焼成も水の量も混ぜ方も小麦粉パンとは違うため、苦労の連続だった。ふっくら米粉を使うようになってからは「膨らみが全く違う。袋を開封して3~4日たっても、開け口をテープで止めてるだけでも軟らかさが残っている。焼けばさらに軟らかさが戻る」と太鼓判を押す。
ふっくら米粉を使って焼く軟らかパンのファン広がる
ふっくら米粉は、「米粉をペースト化してから米粉に混ぜて焼くと、ふっくらした米粉パンができる」という話を聞いた。湿式気流米粉製造機「スーパーパウダーミル」を製造する(株)西村機械製作所(大阪府八尾市)と、JA土佐れいほくの米粉事業を運営する土佐れいほく米粉が共同で開発した米粉だ。5%のアルファ化米粉を混ぜている。他のデンプンなどを混ぜなくても、簡単に十分な膨らみが得られる。
単価は小麦粉パンより高くなってしまうため、当初は来店客から敬遠され、売り上げが落ちた。「バイヤーからは“やめたら”と言われ、理解してくれる所との付き合いだけに絞ったという。しかしグルテンフリーが注目されるにつれてアレルギーとは関係ない一般客も増え始め、いまではWebで出店情報を確認して、他府県からも買いに来てくれる人まで出てきた。
メニューは米粉パン、シュークリーム、フランス生まれの惣菜パンケーク・サレなど。シュークリームは豆乳を使い、乳アレルギーにも対応している。あっさり感が出て、かえって「こっちの方が良い」という顧客もいるほどだ。かぶり物効果もあって、テレビに紹介された北井さん。もう店内に小麦粉は一切置いていない。「皆が一緒に同じものを食べて、楽しめる世界が広がれば」と願っている。