『アルファ化米粉』を提案
【掲載紙】 | 食品産業新聞 |
【掲載日】 | 2019年1月31日(木) |
西村機械製作所
粉体機器を幅広く取り扱う西村機械製作所(西村元樹社長、大阪府八尾市)。米粉向けの小型粉砕機「フェアリーパウダーミル」(FPM―150S)=写真=がイチオシのアイテムだ。
「経済産業省(中小企業庁)の『ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金』を受けて、大阪府立大学との共同研究で開発した。粉砕過程のシミュレーション結果に基づいている」(西村元樹社長)。
従来機「スーパーパウダーミル」の製粉能力(毎時30kg)を毎時7kgまで抑えることで小型化を実現。2年ほど前から発売を開始した後も改良に改良を重ね、昨夏「最終完成型」に漕ぎ着けた。定価も470万円に落ち着いている。
しかし、こういう商品は、ユーザーに直接機械だけを営業しても、そう容易に売れるものではない。米粉パンや米粉麺など、最終商品を提案するところから始めるのが基本的な営業スタンスだ。「導入したユーザーの成功事例を積み重ねていく。昔も今も、この機械の営業戦略はそれに尽きる」。
導入実績は、地方の小さな洋菓子店や和菓子店、あるいは道の駅のなかにオープンした米生産者直営のベーカリーといったところが主流だ。「国の助成『新規需要米』で仕入れた米粉だと、確かに原料費は安くなるが、産地も銘柄も指定できない。そうではなく、多少原料費が高くなっても、例えば地元産米にこだわるとか、無農薬や特栽にこだわる傾向が強い。特に道の駅に店舗を開く生産者などは、『どうせ販売するなら特徴が欲しい』と考える。そこへ最終商品と合わせた機械の提案が通りやすい」。
米粉パンも米粉麺も、品種によって味も出来映えも変わってくる。一般的に高アミロース品種ほど製パンや製麺に向くとされる。現在の一番人気は「みずほちから」だ。
またグルテンフリーの概念が「ようやく浸透してきた」のも追い風。「今までは、ごく一部の人が盛り上がっていただけ。インバウンドの増加もあって、ようやく『米粉の時代』が到来したことを実感している」。
ここに提案する新たなスタイルが「アルファ化米粉」だ。「例えばパンの場合、ただでさえ日もちしにくいところへ、米粉を原料にするとさらに日もちが悪くなる。ところがアルファ化した米粉を混ぜると、劣化しにくく、硬くなりにくくなる。実際に配合を変えた複数のアルファ化米粉を提案しており、これが奏功してきつつある」という。