「品質維持して微粉砕」
【掲載紙】 | 商経アドバイス |
【掲載日】 | 2018年1月11日(木) |
【品質維持して微粉砕】
フェアリーパウダーミル 良質な米粉を手軽に
(株)西村機械製作所
米粉製粉プラントの高い納入実績を誇る(株)西村機械製作所(大阪府八尾市)は、米粉食品の普及に当たって障害となっている原料米粉のコストダウンや使い勝手の良さを実現する方法として、小型の気流式微粉砕機「フェアリーパウダーミル」を製造している。良質な米粉を手軽に活用できるため、グルテンフリー食品に着目するパン屋やケーキ屋などの小売店から引き合いが多い。
同社の気流式微粉砕機は、原料米に30%まで水分を含ませることで粉砕する際に生じる摩擦熱による米粉の品質低下を抑える。原料米同士をぶつけ合う気流粉砕のため、デンプン損傷率がわずか3%と低く、米粉のアルファ化を防ぐ。製造される米粉は平均30ミクロン、50ミクロンからという細かさで、ふっくらとしたパンやケーキが作れる。
フェアリーパウダーミルは小規模の小売店向けに開発された。1時間当たり5キロの少量製造も可能。キッチンサイズの小型機だ。小型化に合わせてローターなどの径が小さくなると、回転数が多くなりがちになるため、回転数を適正にセーブして粉砕効率と安全性を高めた。
開発に当たっては、大阪府立大学と技術連携を図って気流の粉砕エネルギーを解析した。粉砕機の回転数による気流の変化や、気流に特有の乱れを起こす外部ライナーの形状などを分析し、米粉の粒子の大きさやダメージ、性状変化などを自在にコントロールできるように研究を重ねた。
製粉ロットが小さくても良いため、小ロットの商品作りも可能だ。導入したユーザーからは「新商品の試作にもすぐ使える」と重宝がられている。
また玄米や赤米、黒米など変わった米粉を依頼すると、1回ごとに洗浄が必要となるため、委託先から敬遠されることも多かった。
自家製粉できることから、ユーザーの中には野菜などの乾燥チップスを混ぜるなど原料にこだわったり、工夫を凝らした商品開発も進んでいる。自然食品を扱うNPO法人のオルター(大阪府富田林市)では発芽玄米粉「グレイニズムパウダー」や、ミルク状の「グレイニズムミルク」を販売している。グルテンフリー食や糖質制限食として、会員に推奨しているという。
地域の特産物を使ったオリジナルの米粉を原料にしたケーキやパンを作ったり、グルテンフリーにこだわった小売店が「原料米粉から一貫」をアピールして、消費者への安心・安全を掲げる事例が増えているという。