「ミャンマーに製粉機」
【掲載紙】 | 商経アドバイス |
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【掲載日】 | 2015年8月31日(月) |
≪ミャンマーに製粉機≫
贈答で農村所得向上に協力
米粉製造機のパイオニア企業・㈱西村機械製作所(大阪府八尾市)はこのほど、ミャンマーに米粉用製粉機「スーパーパウダーミル」を無償で進呈すると発表した。ミャンマーでは破砕米が多く発生するため、これの有効利用による農村部の所得向上が現地では大きな課題となっている。同社はこれまでに蓄積してきたノウハウを生かし、これに貢献するだけでなく、米粉食品の新たな可能性の追求にもつなげていく狙いだ。
日本・メコン協力に向けた共同文書「新東京戦略2015」に出席するために先ごろミャンマーのティエン・セイン大統領が来日し、7月3日に東京のホテルニューオータニでミャンマー国農村部の所得向上を目的にするスーパーパウダーミルの贈答式が執り行われた。贈答式には同社・西村元樹社長をはじめとした役員一同と、ミャンマーからは大統領と4人の大臣が出席した。
ミャンマーでは精米時の破砕米発生率が45%にも達しており、この破砕米を有効利用したさまざまな加工食品の開発が課題となっている。国としても小麦粉食品の代替として自給率向上にもつなげたい考えだ。
同社は、パイロット装置として先行して時間当たり30キロ対応の製造機を贈答する。続けてミャンマー米で作った即席麺や米菓、パン、ケーキなどの多様な米粉加工食品開発のプロジェクトを立ち上げ、日本とミャンマーの定期的な技術交流を進めていく考えだ。米粉食品市場の開発が軌道に乗れば、先ごろオープンしたタイの現地法人から小まめなメンテナンスなどのフォローも可能だ。
最近はEUなどの小麦食文化圏の国々でも、小麦粉のグルテンアレルギー患者が増えており、グルテンフリー素材として小麦に代わる食材が求められている。アスリートを中心にコメ食が持つ持久力向上というメリットも注目され始めており、米粉加工食品が浸透する可能性も増している。
贈答式では、ティエン・セイン大統領が「米粉がミャンマーのコメ食文化の発展に寄与する。欧米で問題になっているアレルギー患者向けのグルテンフリー素材としてミャンマーから高品質の輸出アイテムに発展することも期待している」と言及した。
当日は米粉パンや米粉ケーキも振る舞われ、米粉食品の可能性について意見が飛び交った。また米粉加工技術の職業訓練やミャンマーと日本の食文化の融合についても話に花が咲いた。西村社長は、「食品加工には日本の衛生技術なども重要。日本の本社からも技術指導に向かい、息の長い取り組みができればうれしい。いずれば現地の人が指導者になって、互いに研鑽し合うほど普及していくようになれば」と抱負を語っている。