「小型機で高品質米粉」
【掲載紙】 | 商経アドバイス |
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【発行日】 | 2015年1月8日(木) |
【記事の内容】
≪小型機で高品質米粉≫
◎JA食糧さが、製粉機導入
米粉食品市場は、ひと頃のような勢いや熱気が感じられなくなっている。生産者サイドは主食用外のコメ生産としては飼料用米の動向に注意を向けているが、食品分野で米粉の活用が定着できれば、その方が農家のモチベーションは上がるし、食品業界も活気づく。小麦粉アレルギーに悩む消費者にも朗報だ。コメ消費拡大のためにも、米粉食品市場の活性化が望まれる。
そのような中、佐賀県のコメ卸・㈱JA食糧さが(佐賀県唐津市)が、この新年から米粉事業に乗り出す。このほど米粉製粉機では草分け的存在の㈱西村機械製作所(大阪府八尾市、☎072・991・2461)のスーパーパウダーミルを導入した。将来的な米価の変動や、環太平洋経済連携協定(TPP)に限らなくとも迫られる懸念のあるコメ市場の国際化などに対応するための新たな試みのひとつでもある。
JA食糧さががあらかじめ米粉食品の2次加工に意欲を示す二十数社に意見を聞いたところ、「課題は米粉の粒度とデンプン損傷度にあった。この2つの問題を解決する技術を持った企業としてアプローチした」(池田秀徳管理部長)という。サンプル米を送り、テスト製粉してもらった結果も良好だった。
佐賀県では、米粉食品がまだあまり浸透していない。そのためもあってJA食糧さがの米粉事業は県内で注目されそうだが、九州まで視野を広げると福岡県や熊本県には先行している事業体もある。そうした事情から品質の劣る米粉を流通させるわけにはいかない。「製粉品質を第一に検討した」という。現在は、製麺・洋菓子向けの分野で意欲的な実需者があるという。
同社が導入したスーパーパウダーミルは、1時間当たり原料米30キロ処理の性能がある。平均粒度は30ミクロンで、パンでも十分にふんわりと焼き上がる粒度だ。デンプン損傷度は5%以下に抑えられる。粉砕方法は気流粉砕だが、手動で湿式製粉にも切り替え可能。白米向けの使用ではあるが、設備の見直しによっては玄米粉の製造も可能な機械だ。
製粉室と充填室が別になっており、つねにクリーンな状態を保って作業できる。工程を区切ることによって高いレベルの作業管理、品質管理を維持できる。
西村機械は設備の開発・設置だけでなく、導入先の経営環境や市場規模、立地条件や地元の特産品なども考慮した上で、加工商品の考案などコンサルタント面でのフォローも行う。ハード・ソフト両面でのサポートを進めていく姿勢だ。