「玄米粉・生粉で差別化」
【掲載紙】 | 商経アドバイス |
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【発行日】 | 2014年08月28日(木) |
【記事の内容】
◎玄米粉・生粉で差別化
≪商品開発、特産活用も提案≫
約80年前の創業当時から上新粉や米菓陽米粉の製粉機開発に携わってきた㈱西村機械製作所(西村元樹代表、大阪府八尾市、072-991-2461)は、新規用途の米粉製粉開発にも十数年余の実績を持つ。さらには導入先の経営環境や市場規模、立地条件や地元の特産品なども考慮した上で、コンサルタントのように加工商品づくりの相談にも乗っている。日本各地で、地元産米を生かした6次産業育成も視野に、新規用途米粉の市場拡大に取り組んでいる。
同社の米粉製粉機の利点は、①品質の良い湿式米粉を製造できる上、乾式製粉にも対応可能②白米の製粉だけでなく、玄米粉も製造可能③大規模製粉から小ロット製粉まで対応④米粉を「生粉」のまま二次加工できる――などが挙げられる。
米粉に関心を持つ食品メーカーは多い。しかし、小麦粉より原料コストが高いなどの理由で、取り扱いを躊躇する食材卸が多い。そこで同社は現在、地域の食品加工メーカーや、6次産業化に関心が高い農家の要望に対応できるように、自社製粉から二次加工まで対応できる、製粉機から米粉パンや米粉麺の焼成機・形成機まで一体となった大型・小型ユニットの開発にも力を入れている。
同社の米粉製粉は、原料米に時間をかけて内部までムラがないように水を浸漬し、高速気流回転の中でコメ粒同士をぶつけ合わせて微粉砕させる。湿式気流粉砕の長所は、粉砕時に発生する熱を抑えられ、米粉のデンプンが損傷せずに済む点だ。デンプン損傷が多い米粉は吸水が多くなり、生地にした際、まとまりにくくなる。あとから水分がにじみ出して、ジトッとした生地になってしまう。
品質の良い米粉は製品に加工したあとも、中性脂肪の吸収を抑え日持ちがする食品になる。冷凍や冷蔵での保存性も向上する。小麦粉パンより発酵時間が短縮できる。
同社は1時間当たり30キロの少量生産から、1,000キロの大ロット生産用までさまざまな機種を取り揃え、道の駅や食品メーカーから、農家の需要にも対応している。二次加工の機械メーカーとも協力した食品加工ユニットも揃える。
米粉製造から二次加工まで一体に機械を組むことで、湿式米粉をいちいち乾燥させずに生粉のまま加工に供することができる。デンプン損傷がより少なくなるため粉の品質もしっとりし、コメの風味も生きてくる。
しかも玄米をそのまま加工できるため、食物繊維や栄養価に優れ、玄米の香りが生きた米粉製品が作れる点で付加価値を訴えることも可能だ。また大豆、小豆、茶葉も加工できる。地元の特産品を製粉化して、その土地ならではの6次産業化を図ることも可能だ。
コメの供給過剰が今後も見込まれる中、国は新規用途米の需要掘り起こしに力を入れている。食料・農業・農村政策審議会食料部会が開かれた際にも、米粉用米の利用促進には「消費者に魅力のある商品開発が不可欠」と指摘された。
同社では、高品質な米粉を使って商品開発や事業展開など、農家や地域のサポートも積極的に努めていく意向だ。