「米麹など微粉砕で用途拡大」
【掲載紙】 | 食品産業新聞 |
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【発行日】 | 2014年01月30日(木) |
【記事の内容】
≪米麹など微粉砕で用途拡大≫
「米の魅力づくり」追及
栃木県大田原市の造り酒屋である天鷹酒造(尾崎宗範社長)は昨年末、西村機械製作所の気流粉砕機を導入した。「酒屋だからできること」「米を使って何ができるか」を追求した結果、選択肢の一つとして、米の粉に着目。米はもちろん、米麹を微粉砕することで、様々な用途開発を進めている。
「例えば塩麹が注目されているが、粒が残っているので、肉や魚につけて焼くと焦げてしまうことがある。これを微粉砕しペースト状にすることで伸ばしやすくなるし、漬け込むだけでもよくなり、手間もかからない」とし、ほかにも「地元のケーキ屋には米麹の粉末を使ってケーキができるか試してもらっている。うまくいけば砂糖を使わなくてもできるかもしれないし、この製粉機では小麦粉よりも細かくできるので、なじみやすくなって様々な用途への広がりが期待できる」と意気込む。
湿式、米粉の製造への切り替えも可能な製粉機(スーパーパウダーミル)について「微粉砕しても米の温度が上がらず、澱粉損傷が少ない。将来的にも役に立つ」とも。
同社は今年、創業100年を迎えるが、近年注力するのがオーガニックのお酒だ。原料米は地元の農家と直接契約した有機JAS米を使用し、醸造工程にも細心の注意を払っている独自のもの。日本以外にも、EU、アメリカと「日米欧の有機認証を持っている」とのことで、オーガニック市場の活発な世界への展開も加速している。「麹はまた、世界的にも注目されている。2月にドイツで開催されるビオファ(オーガニックの展示会)にも出展し、世界的にも珍しい米麹の粉末、その上オーガニック原料のものをアピールしたい」。
米麹の粉末は同社で販売する甘酒にも利用する予定で「米を50%削った大吟醸と同じ規格で作った麹のみを使用している。微粉砕することでより滑らかな甘酒になる」と期待する。原料から製品まで自ら管理することでトレースを徹底し、酒屋だからできる「米の魅力づくり」をこれからも追及していく。