「生粉の品質で差別化」
【掲載紙】 | 商経アドバイス |
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【発行日】 | 2013年08月29日(木) |
【記事の内容】
≪生粉の品質で差別化≫
玄米や地域特産品も商品化
米粉の製粉機では草分け的存在の㈱西村機械製作所(西村元樹社長、大阪府八尾市、072・991・2461)は、米粉気流式粉砕機「スーパーパウダーミル」を小ロット化し、農業の6次産業化や、地域のパン屋さん、そば・パスタ料理屋さん向け地域活性化事業への貢献に挑戦している。小資本の農家・事業者が米粉パン、米粉麺で大手との差別化を図りやすくできるように応援している。
米粉食品が消費者に浸透するためには、安い米粉がどこでも買えるようになるのが一番だ。しかし、実際には小麦粉より原料コストが高くなる。そのために一般の量販店や食材卸でも取り扱いを躊躇している。
そこで同社は逆に近年、食品加工ユーザーが自社内で米粉製粉できるように小型ユニットの開発に努めている。しかも途中の、米粉の流通段階を経ないことによって、同社の特徴である湿式製粉のメリットがふんだんに活かせるようになっている。
スーパーパウダーミルは、まず原料米を洗米したあと、時間をかけて水に浸漬、内部までムラがないように時間をかけて浸透を図る。粉砕工程では高速気流回転の中でコメ粒同士をぶつけ合わせて微粉砕させる。湿式気流製粉の長所は、粉砕時に熱を発生させなくて済むため、デンプン損傷を抑えられる点だ。デンプン損傷が多いと吸水が多くなり、生地にした際にまとまりにくくなる。しかもそのまま水分を保持する力がなく、途中で水を吐きだしていくため、ジトッとした生地になってしまう。
通常はその後、流通に適するように13%まで水分を乾燥させるのだが、乾燥させればデンプンもダメージを受ける上、乾燥設備も必要だ。
米粉粉砕と二次加工が同じ場所でできれば、乾燥させない「生粉」のまま麺やパンに加工できる。デンプン損傷がより少ない生粉で加工すれば、粉の品質もしっとりし、コメの風味も生きてくる。米粉食品特有のもっちり、しっとり感が断然、生きてくる。
しかもスーパーパウダーミルは、浸漬工程を調整することで、玄米でも生粉に加工できる。栄養や食物繊維が豊富な玄米粉パン・麺で付加価値を訴えることも可能だ。コメ糠油を多く含む玄米粉は、焙煎しないとすぐに傷む。しかも特有の臭いが気になる人は多い。これらの問題が解決できる。また大豆、小豆、ソバ、茶葉も加工できる。もちろん小麦も可能なため、外国産が一切入らない地元産小麦100%のパン・麺も作れる。
同社は米粉パン・麺の普及のため、米粉食品の入門書も製作。希望者には贈呈している。さらに設備を設置するだけでなく、商品化や事業展開の相談にも乗っている。地域の特産品等を活かした商品開発など具体的な提案で、農家や法人、町の事業者を積極的にサポートしていきたい考えにある。