湿式で玄米製粉可能
<湿式で玄米製粉可能>
デンプン損傷抑え良質粉に
【掲載紙】 | 商経アドバイス |
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【発行日】 | 2010年8月30日(月) |
【記事の内容】
㈱西村機械製作所
米粉パンやラーメン、パスタなどの二次製品の品質を考えると、米粉製粉時のデンプン損傷率を低く抑えることが不可欠になる。そのため、米粉製造装置ではパイオニア企業のひとつである㈱西村機械製作所(大阪府八尾市、☎072-991-2461)は長年、湿式製粉にこだわり続けてきた。さらに今回、湿式では困難といわれてきた玄米粉の湿式製粉も可能とする装置を開発。現在、特許出願中だ。
湿式製粉の最大の特徴は、でき上がった米粉のデンプン損傷率の低さにある。同社の気流式粉砕機「スーパーパウダーミル」は、一般的な乾式製粉をはるかに下回るデンプン損傷率「5%以下」を誇る。
粉砕工程に入る前に、原料米に水分を含ませることで製粉時の熱ダメージを軽減させるわけだが、一般的な製法では玄米は水分吸収だけで丸一日かかってしまう。これを独自の技術によって克服し、精白米と同程度の短時間で水分吸収を可能にさせたものだ。
玄米のままで製粉できるため、米粉の栄養価も優れているほか、白米製粉に比べて搗精作業の時間も手間も省ける。目減りもない。赤米などの有色素米も、色の特徴を生かせる。パンなどにすると、焼きあがりに玄米の風味が出るという。最新機では玄米・白米のどちらでも製粉できる兼用機を開発した。
スーパーパウダーミルで製粉した米粉の特徴は、
①米粉が一定の粒度に揃っているため、ムラがなく歩留りが良い
②製粉時の穀温度上昇が抑えられるため、米粉の課題であるアルファ化が起 きない。
③原料米の硬度を和らげてから粉砕するため、ダメージの少ない粉に仕上が り、デンプンが損傷しない。
④一定の含水分値に整えるため品質が安定する。
⑤ユーザーのニーズに合わせて、乾式製粉にも対応可能などが挙げられる。
<コストダウン化実現へ>
粉の粒度を自由に調整できるため、ふっくらした食パンから表面が硬いフランスパン、しっとりしたケーキやたこ焼き粉など、幅広い製品に対応したさまざまな米粉を作ることができる。同社は粉砕前の原料米の浸漬と、粉砕後の米粉の乾燥に関する装置を改良したコンパクトタイプも今年から市場に投入している。これにより乾式装置と同程度までに大幅コストダウンした機械も提供できるようになっている。