品質の良い米粉の作り方 – 湿式製粉法とは –
水分を含侵させることできめ細かくでんぷん損傷の少ない米粉ができます。
米粉は小麦粉とはまったく異なる製法で製粉されます。
粉砕されて粒が粉になるわけですが、米は小麦に比べて非常に硬いため、小麦と同じ製法では容易に粉にはなりません。そのために、ご飯を炊くように一度水に浸して、米に水分を含浸させることで硬度を和らげます。この作業の後に粉砕することできめ細かく、かつでんぷん損傷の少ない米粉ができます。
この一連の製法を『湿式製粉』と呼びますが、これはこれまでの米粉である“上新粉”と同じ方式です。一方、水に浸すことなく生米をそのまま粉砕する製法を『乾式製粉』と呼びます。
粉砕機単体で最適な米粉を作ることが理想ですが、実際には水を含浸させる工程、粉砕工程および乾燥工程が必要になります。
湿式製粉フロー
湿式米粉製造プラントは様々な役割を持つ個々のユニットが集まることで、原料投入から袋詰めまでの工程を一貫して行います。
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1.原料投入石抜ライン
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2.洗米・浸漬・テンパリングライン
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3.粉砕乾燥・混合ライン
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4.袋詰・出荷ライン
当設備フローは一例です。生産能力と米粉用途によって異なります。
湿式製粉と乾式製粉の
利点・欠点
湿式製粉の利点はよりきめ細かく、でんぷん損傷の少ない粉ができることです。
欠点は設備コストが増大になること、および排水処理を考えなければならないことです。
- 湿式製粉
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◎きめ細かい粉
◎でんぷん損傷が少ない
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×設備コストアップ
×排水処理を考慮する必要がある(※)
- 乾式製粉
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◎設備点数が少ない
◎操作が簡易
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×粗い粉
×でんぷん損傷が激しい
生産能力が増大の場合のみ、また各地域で定めた法令が異なるため確認が必要です。
各粉砕による粒度分布と
電子顕微鏡による写真
湿式製粉と乾式製粉による
米粉の表面状態の違い
でんぷん損傷率と
パンの膨らみ
湿式製粉のデンプン損傷度は3%~5%です。一方、乾式製粉では粉砕機を問わず10%以上がほとんどです。製パン時の膨らみ(パンの比容積)とでんぷん損傷度を比較してみました。でんぷん損傷度が低いほどパンが膨らむことがわかります。食パン(角食、山食)となれば膨らみが食感を左右します。そのためにもでんぷん損傷の少ない米粉が適しています。
資料提供:米粉マイスター協会様