米粉について学ぶ

品質の良い米粉の作り方 – 湿式製粉法とは –

水分を含侵させることできめ細かくでんぷん損傷の少ない米粉ができます。

米粉は小麦粉とはまったく異なる製法で製粉されます。

粉砕されて粒が粉になるわけですが、米は小麦に比べて非常に硬いため、小麦と同じ製法では容易に粉にはなりません。そのために、ご飯を炊くように一度水に浸して、米に水分を含浸させることで硬度を和らげます。この作業の後に粉砕することできめ細かく、かつでんぷん損傷の少ない米粉ができます。

この一連の製法を『湿式製粉』と呼びますが、これはこれまでの米粉である“上新粉”と同じ方式です。一方、水に浸すことなく生米をそのまま粉砕する製法を『乾式製粉』と呼びます。

粉砕機単体で最適な米粉を作ることが理想ですが、実際には水を含浸させる工程、粉砕工程および乾燥工程が必要になります。

湿式製粉フロー

湿式米粉製造プラントは様々な役割を持つ個々のユニットが集まることで、原料投入から袋詰めまでの工程を一貫して行います。

  1. 1.原料投入石抜ライン

    原料を投入します 荷受ホッパー 荷受昇降機 荷受タンク 石抜機 きれいに石を除去します 除去 石抜機取出昇降機 洗米
  2. 2.洗米・浸漬・テンパリングライン

    洗米機 浸漬コンベア15分~45分原料を水に漬け、加工しやすいように柔らかくします。 テンパリングコンベア 含有水分が一定になるよう30分~1時間テンパリング(寝かし)を行います。 米粉を一定水分値にして粉砕することで粒度にバラつきのない米粉ができるんだ!
  3. 3.粉砕乾燥・混合ライン

    気流完走管 乾燥させて米本来の水分値に戻すと同時に大気の温度に戻して結露 サイクロン 遠心力で気体と個体(粉体)を分離します。 集塵機へ フルイ機 念のために異物除去。 マグネスルー 磁石で金属異物を除去。 混合機 副原料を混合。 米粉だけではパンにした時膨らまないので副原料のグルテンを混合するよ!
  4. 4.袋詰・出荷ライン

    品質検査 水分計 粒度測定器 品質管理を徹底しています! バッカー 自動および手動ですばやく袋詰め。 金属探知機 金属異物がないか最終チェック。 高品質の米粉をお客様に出荷します!米粉ができた!

当設備フローは一例です。生産能力と米粉用途によって異なります。

湿式製粉と乾式製粉の
利点・欠点

湿式製粉の利点はよりきめ細かく、でんぷん損傷の少ない粉ができることです。
欠点は設備コストが増大になること、および排水処理を考えなければならないことです。

湿式製粉

きめ細かい粉

でんぷん損傷が少ない

×設備コストアップ

×排水処理を考慮する必要がある(※)

乾式製粉

設備点数が少ない

操作が簡易

×粗い粉

×でんぷん損傷が激しい

生産能力が増大の場合のみ、また各地域で定めた法令が異なるため確認が必要です。

各粉砕による粒度分布と
電子顕微鏡による写真

湿式製粉 気流粉砕スーパーパウダーミル 平均粒怪30μm レンジ:10~100μm 胴づき粉砕機スタンプミル 平均粒径:30μm レンジ:5~150μm 乾式製粉 衝撃粉砕機ピンミル 平均粒径:70μm レンジ:30~180μm 気流粉砕機スーパーパウダーミル 平均粒径:45μmレンジ:10~120μm 細かい 粗い

湿式製粉と乾式製粉による
米粉の表面状態の違い

湿式米粉(スタンプミル) でんぷん粒が米粉表面に露出 米粉の表面にでんぷん粒が露出して全体的に丸みを帯びています。 乾式米粉(衝撃粉砕) 米粉の表面にはほとんどでんぷん粒が見られません。全体的に凹凸が多くなっています。

でんぷん損傷率と
パンの膨らみ

湿式製粉のデンプン損傷度は3%~5%です。一方、乾式製粉では粉砕機を問わず10%以上がほとんどです。製パン時の膨らみ(パンの比容積)とでんぷん損傷度を比較してみました。でんぷん損傷度が低いほどパンが膨らむことがわかります。食パン(角食、山食)となれば膨らみが食感を左右します。そのためにもでんぷん損傷の少ない米粉が適しています。

No No.1 No.2 No.3 No.4 No.5 No.6 No.7 製粉方法 気流粉砕機 スタンプミル 粒度(D50) 24μm 27μm 52μm 46μm 87μm 100μm 100μm以上 原料米 うるち米 アミロース 高アミロース 中アミロース なし でんぷん損傷度 3% 3.4% 3.1% 11.4% 10.2% 6.2% 不明 製粉方法 食味 きめ細かく歯切れが良い 甘みがありきめ細かい 甘みがありソフトな食感 ネチッモチッとした食感 やや粗く米の味が強い きめが粗く米の味が強い 膨らむがすぐに沈む

資料提供:米粉マイスター協会様

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